センサーの種類と仕組みを解説|精度・耐久性を左右する設計ポイントとは?
2026/05/20
コラム
センサーは、装置の性能や使い勝手を左右する重要な部品です。赤外線や超音波、温度、湿度、人感、接近など種類が多く、用途に合わない選定は精度低下や寿命短縮につながります。さらに、屋外機器や自動ドア、車、IoT機器など用途ごとに求められる耐久性や基板設計の条件も異なります。
この記事では、センサーの種類と仕組み、設計時に確認したいポイントについてわかりやすく解説します。
センサーの種類と仕組み
代表的なセンサーは以下の6種類です。用途に応じて使い分けられます。
- 赤外線センサー:物体検知(反射・遮光)
- 超音波センサー:距離測定(時間差)
- 温度センサー:温度変化を電気信号化
- 湿度センサー:水分量の変化を検出
- 人感センサー:人の動きを検知
- 接近センサー:非接触で近接検出
赤外線センサー
▲イメージ
赤外線の反射や遮断による光量変化を検出し、対象物を捉えるセンサーです。
反射型・透過型・回帰反射型などがあり、設置条件に応じて使い分けられます。
超音波センサー
▲イメージ
超音波の往復時間から距離を測定するセンサーです。
距離は L=1/2×T×C で求められ、透明体や液面の検出に強く、汚れの影響を受けにくい特徴があります。
温度センサー

温度による電気抵抗の変化を利用して測定するセンサーです。
代表例のPt100Ωは高精度・高安定で、工業用途で広く使用されています。
湿度センサー

空気中の水分量の変化を電気信号として検出するセンサーです。
静電容量型では誘電率の変化を利用し、汚染物質の付着は精度低下の要因になります。
人感センサー
▲イメージ
赤外線の変化から人や熱源の動きを検出するセンサーです。
焦電型(PIR)が主流で、温度差や動きによって検出性能が変わります。
接近センサー
▲イメージ
認証アクセス制御システムでIDカードを使用して本人確認を行い、ドアを開ける。
対象物の接近を非接触で検出するセンサーです。
金属接近時のインピーダンス変化を利用し、機械式スイッチの代替として使われます。
【使用環境別】センサー選定と設計の考え方

同じ種類のセンサーでも、屋内外や用途(人検知・環境計測など)によって選定条件が変わります。 ここからは、使用環境ごとに重視すべきセンサー選定のポイントを解説します。
屋外で使う場合(赤外線・人感センサーなど)
屋外で人や物体を検知する用途では、検出方式より先に耐環境性の確認が必要です。
赤外線方式も使用できますが、防水・防塵・結露・凍結対策が前提となります。温度変化も大きく誤動作が起こりやすいため、筐体設計やシール構造まで含めた選定が必要です。
自動ドアで使う場合(アクティブ赤外線センサー)
単に接近を検知するだけでなく、開口部で人や物体を見失わないことが重要です。
アクティブ赤外線方式では床面への反射変化で検出し、対象がある間は開状態を維持しやすく、早閉まり防止に有効です。
カートなど熱を持たない対象にも対応できる点が、人感センサーとの違いです。
車で使う場合(車載センサー)
車載用途では、センサーの種類だけでなく品質規格への適合が重要です。
AEC-Q100では温度グレードが定義されており、例えばグレード1は-40℃~+125℃で動作します。一般産業用部品の流用では不足しやすく、高温域を含めた精度保証が求められます。
IoT機器で使う場合(温湿度センサー)
環境データ(温度・湿度)を取得するIoT機器では、精度に加えて消費電力・サイズ・通信方式が重要です。
デジタル出力の温湿度センサーは扱いやすく、I2C対応品であれば2本の配線で接続できます。校正済み・温度補償・小型・低電圧対応などの仕様が、実装性と省電力性に直結します。
精度・耐久性・寿命を左右する設計ポイント|サイズ選定から基板設計

センサーは、種類の選定だけで性能が決まるわけではありません。実装条件によって、精度や寿命は大きく変わります。
ここでは、温度・湿度センサーを例に、設計時に押さえるべきポイントを解説します。
ポイント①精度は実装条件と配線方式で決まる
温度・湿度センサーでは、実装後の熱影響をどこまで抑えられるかが測定精度を左右します。相対湿度は温度依存性が強く、センサー近くに電源回路やマイコン、表示器などの発熱源があると、湿度の読み値がずれやすくなります。
湿度90%RH付近では、温度差1℃で湿度信号が5%RHずれる場合もあるため、センサーは熱源から距離を取り、配線や銅箔、スリット設計で熱影響を抑えることが重要です。
温度計測でPt100Ωを使う場合は、配線方式の違いも精度に直結します。
2線式はリード線抵抗が誤差項として加わりますが、3線式は条件が揃えばリード線抵抗を相殺でき、4線式はリード線抵抗の影響を最も受けにくい構成です。
高精度を求める装置ほどセンサー単体の精度表だけでなく、どの配線方式で基板に載せるかまで含めて仕様化する必要があります。
ポイント②耐久性・寿命は汚染・結露対策が重要
湿度センサーの長期安定性は、素子そのものだけでなく周囲環境に強く左右されます。
静電容量式の湿度センサーは、揮発性有機化合物、粒子、塗料、表面皮膜、コーティング材などの影響を受けます。汚染は水分子の移動を妨げたり、感湿層内部に拡散して出力を変化させるため、精度や寿命に影響します。
また、結露・粉じん・塩分といった環境条件への対策も欠かせません。センサーがこれらの影響を受ける環境では、素子選定と筐体保護を分けて考えてはいけません。
一方で、湿度センサーにはIP67のフィルタ膜で粉じんや水の結露から保護する品種や、ヒーターで結露を除去してオフセット補正に使える品種もあります。つまり、耐久性と寿命は、「どのセンサーを使うか」だけでなく、「どの保護構造で実装するか」で決まります。
ポイント③サイズ選定と基板設計が性能に影響する
センサーの性能は、サイズや基板設計を含む実装条件によって左右されます。
小型パッケージは、IoT機器や車載機器、ライト周辺など、スペース制約の厳しい装置に適していますが、実装後は基板や筐体の熱容量、開口部の大きさ、空気の流れといった影響を受けます。
特に温度・湿度センサーでは、実装位置や周囲環境によって応答時間や測定値が変化します。開口部や内部空間、熱源の位置によっては、応答性が低下する場合があります。
また、基板設計では配線の取り回しや実装性も重要です。小型パッケージやデジタル出力のセンサーは、実装性や配線のしやすさに影響します。
外注先の選び方
外注先を選ぶ際は、センサーの種類だけでなく、サイズ、配線方式、熱対策、保護構造、応答時間、寿命まで含めて、基板と一体で設計できるかを確認することが重要です。
仕様書上の精度や長期ドリフト、動作温度範囲、実装条件まで整理して提案できる会社ほど、開発初期の手戻りを減らしやすくなります。
センサーの品質は単体性能だけでなく、配線方式や基板の熱影響、筐体構造、結露・汚染対策といった実装条件によって大きく左右されます。こうした視点まで踏まえて設計できるかが、最終製品の品質を分けるポイントです。
当社では、こうした実装条件まで踏まえたセンサー×基板開発に対応しています。選定から回路・基板設計、試作評価まで一貫して支援し、用途に応じた高品質な装置開発をサポートします。





