湿度センサーの種類と選び方。測定原理と使用例を解説

2023/08/04

コラム

人間が生活するのに快適な空間を確保するには、湿度が重要になってきます。エアコンは、温度とともに湿度もコントロールすることで、快適な環境をつくり出しています。そのエアコンの湿度の制御に重要な役割を果たしているのが「湿度センサー」です。
今回は、湿度センサーの種類、測定原理や用途、選び方について解説します。

湿度センサーとその種類

「湿度センサー」とは、空気中に含まれる水蒸気の量を測定するセンサーをいい次のような種類があります。

  • 電気式(電子式)湿度センサー
  • 乾湿球式湿度センサー(乾湿球湿度計)
  • 毛髪式湿度センサー(毛髪湿度計)
  • 電解質系湿度センサー
  • セラミックス湿度センサー
  • 熱伝導式湿度センサー …など

この中でも、「電気式湿度センサー」が広く利用されています。ここからは電気式湿度センサーを中心に解説していきます。

湿度センサーの代表的存在「電気式湿度センサー」とは?


電気式湿度センサーには、「静電容量式湿度センサー」と「電気抵抗式湿度センサー」があります。


静電容量式湿度センサー

静電容量式湿度センサーは、湿度の変化に応じて静電容量(コンデンサーの蓄電力を表す量)が変化する仕組みを持つセンサーです。静電容量を測定するための回路がやや複雑であるものの十分な精度が得られやすいことなどから、産業用の湿度センサーとして幅広く使用されています。


●特長

静電容量式湿度センサーの特長は、次のとおりです。

  • 低湿度領域の測定ができる
  • 応答性が良い(応答速度が速い)
  • 相対湿度の変化に対して、ほぼ比例的に静電容量が変化する
  • 電界効果トランジスタ(FET)と組み合わせた集積化が容易である


●測定原理

静電容量式湿度センサーは、向かい合った1対の電極が高分子膜を挟み込む構造になっています。片方の電極には、空気中の水分を透過する電極が使用されます。セルロースやポリビニルアルコールなどからなる高分子膜に水分が吸着すると、静電容量が増加します。この静電容量の変化を測定することにより、静電容量式湿度センサーは湿度を検知します。




電気抵抗式湿度センサー

電気抵抗式湿度センサーは、湿度の変化に応じて電気抵抗が変化する仕組みを持つセンサーです。大量生産が可能なことなどから、一般家庭用の湿度センサーとして最もよく使用されています。
いずれのセンサーも、感湿性の高分子材料(感湿材、感湿素子)を用います。この高分子材料は、空気中の水分(水蒸気)を吸着・脱着します。


●特長

電気抵抗式湿度センサーの特長は、次のとおりです。

  • 高湿度領域の測定ができる
  • 耐久性に優れ、長期的に安定している
  • ガスの影響を受けにくい
  • 比較的廉価である


●測定原理

電気抵抗式湿度センサーは、くし型の1対の電極が互いに接触しないように設けられています。電極の間には、アンモニウム塩含有ポリマーやポリスチレンスルホン酸塩といった高分子材料が挟み込まれています。この高分子材料は、水分によってイオン伝導が生じるため電気抵抗が低下します。電気抵抗式湿度センサーは電極が接触していないため、高分子に水分が吸着しない状態では電気は流れにくくなります。その結果、抵抗値は高くなります。一方、高分子に水分が吸着すると電気が流れるようになります。その結果、抵抗値は低くなります。この抵抗値の変化を測定することにより、電気抵抗式湿度センサーは湿度を検知します。


いずれのセンサーも、湿度データはアナログ信号もしくはデジタル信号、またはアナログとデジタルの両方の信号が出力されるものがあります。

湿度センサーの使用例・用途


湿度センサーは、湿度測定のほか、エアコン、加湿器や除湿器、空気清浄機、電子レンジ、冷蔵庫、コピー機などに使用されています。最近では、内蔵された湿度センサーが検知して自動運転をする換気扇も登場しています。湿度は、人間の生活環境だけでなく植物の栽培、食品の保存、機械の動作などにも影響を与えます。こうしたことから湿度センサーは一般向けに加えて、農業、工業、医療など、さまざまな分野で広く利用されています。
湿度センサー単体のほかに、湿度センサーと温度センサーとが一体になった「温湿度センサー」も市販されています。湿度センサーの用途は、現在も拡大しています。

湿度センサーの選び方


湿度センサーは、その対象とする測定範囲が広いため、使用目的や測定目的に合わせて適切なものを選定することが重要になります。周囲温度などの環境、要求される精度・仕様、湿度を表す相対湿度・絶対湿度・露点・水蒸気分圧といった種類に応じて十分な検討が必要です。
また、湿度センサーはさまざまな原因によって経年変化するため、計測値が変化してしまったり故障する場合があります。湿度を正しく測定するためには、湿度センサーの定期的な校正が必要になります。湿度センサーの導入検討・選定時には、この点も考慮しておきましょう。


ニッポーでは、湿度センサーや湿度計、温湿度調節計、温度センサーや温度計といった計測分野において数多くの開発実績と豊富な経験があります。湿度や温度の測定・制御に関して、お客さまのご要望に合わせた的確なご提案が可能です。詳細を知りたい方は、当社までお気軽にご相談ください。


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