きのこ栽培の電気代はどこでかかる?ランニングコストに影響する設備を解説

2026/06/23

コラム

きのこ栽培を始めるにあたり、事前に確認しておきたい費用のひとつが電気代です。
特に菌床栽培では、温度や湿度、二酸化炭素濃度などを一定に保つため、空調や換気、加湿などの設備を継続的に稼働させる必要があります。そのため、きのこ栽培において電気代は切っても切り離せないランニングコストと言えます。
この記事では、きのこ栽培で電気代が発生する主な設備や、消費電力が大きくなりやすいポイントを解説します。これからきのこ栽培を始めたい方は、設備計画や事業計画を立てる際の参考にしてください。

きのこ栽培ではどこで電気代が発生するのか


きのこの菌床栽培で電気代が発生する主な場面は、栽培環境を管理する工程です。発生室や培養室の環境を人工的に整える必要があります。
代表的な設備には、空調設備、加湿設備、換気設備、照明設備、冷蔵設備があります。さらに、菌床を自社で製造する場合は、培地の撹拌や滅菌、冷却などにもエネルギーが必要です。

中でも電気代に大きく影響しやすいのは空調設備です。
きのこは種類や生育段階によって適した温度が異なるため、夏は冷房、冬は暖房を使用しながら栽培環境を維持します。外気温との差が大きいほど空調負荷が増えるため、電気代にも影響しやすい設備です。

加湿設備も電気代が発生する設備のひとつです。
発生室では高い湿度を保つ必要があるため、加湿器を長時間稼働させるケースがあります。加湿設備は電気代だけでなく、水の使用量も運用コストに影響するため、水道代も含めて検討することが大切です。

換気設備は、二酸化炭素濃度を管理するために使用されます。
きのこの菌は呼吸をするため、室内の二酸化炭素濃度が高くなりすぎると生育不良や形状の乱れにつながります。そのため、換気扇や送風機を稼働させる必要があり、ランニングコストの一因となります。

電気代が高くなりやすい原因


きのこ栽培の電気代が高くなりやすい理由は、環境管理に使う設備を継続的に稼働させるためです。
栽培施設では、温度や湿度、二酸化炭素濃度を一定に保つ必要があり、空調や換気設備などを長時間稼働させる必要があります。

(1)空調設備

空調設備は、きのこ栽培において特に電気代への影響が大きい設備です。外気温と設定温度の差が大きいほど、冷房や暖房にかかる電力は増えます。

(2)換気設備

換気設備は、二酸化炭素濃度を適切に管理するために必要です。ただし、外気を取り入れると室内温度が変化します。その結果、空調設備の負荷が増え、電気代に影響する場合があります。

(3)照明設備

空調や加湿に比べると消費電力が小さい傾向にあります。ただし、複数の発生室で長時間点灯する場合は、年間で一定の電気代が発生します。LED照明を導入すれば、省エネにつながります。

(4)冷蔵設備

収穫したきのこを出荷まで保管する場合、冷蔵庫や冷蔵室を使います。生産量が増えるほど保管スペースが必要になり、電気代も増加します。

設備ごとの消費電力を把握して省エネにつなげよう


栽培施設の電気代を管理するためには、設備ごとの消費電力と稼働時間を把握することが大切です。電気代は、主に「消費電力」「使用時間」「電気料金単価」によって決まります。

例えば、消費電力1kWの設備を1日10時間使用し、電気料金単価を30円/kWhとした場合、
1kW × 10時間 × 30円 = 300円/日
となります。
使用時間が長い設備ほど、電気代への影響も大きくなります。そのため、稼働時間が長い設備や消費電力が大きい設備から優先的に見直すことが重要です。

<参考例>

栽培施設で使用される設備の消費電力例(機種により異なります)
・加湿器(FOG6):230W
・熱交換器(SK200):86W(50Hz)/80W(60Hz)
・エアコン(10馬力):10.4kW(50Hz)/10.6kW(60Hz)
※定格条件における最大消費電力

このように、空調設備は他の設備と比べて消費電力が大きく、電気代への影響も大きい傾向があります。そのため、まずは空調負荷の低減から取り組むことが効果的です。

ここからは、きのこ栽培で取り組みやすい主な省エネ対策を紹介します。

空調負荷を減らす

空調設備は、電気代に影響しやすい設備です。断熱性の高い栽培室にする、扉の開閉を減らす、設定温度を適切に管理するなどの工夫で、空調負荷を抑えやすくなります。ただし、温度や湿度を大きく変えると品質や発生量に影響するため、栽培基準に沿って調整する必要があります。

設備の運転を最適化する

加湿設備や換気設備は、湿度計や二酸化炭素濃度計を活用しながら管理すると、必要以上の稼働を抑えられます。照明設備は、LED照明への切り替えが代表的な省エネ対策です。冷蔵設備は、庫内温度や扉の開閉回数を見直すことで、無駄な電力消費を減らしやすくなります。

自家発電設備を検討する

設備の見直しによる省エネに加えて、事業規模が大きい場合は太陽光発電などの自家発電設備を検討する方法もあります。発電設備の導入には初期費用がかかるため、補助金や支援制度の対象になるか、自治体や農業支援機関に確認することが重要です。

きのこ栽培の電気代は、主に空調、加湿、換気、照明、冷蔵設備で発生します。特に菌床きのこの施設栽培では、温度、湿度、二酸化炭素濃度を管理するため、環境制御に関わるランニングコストを見込む必要があります。

また、大規模栽培では環境制御システムの活用も有効です。温度・湿度・二酸化炭素濃度を適切に管理することで、品質の安定化だけでなく、無駄なエネルギー消費の削減にもつながります。
例えば、CO₂濃度に応じて換気を制御することで過剰な換気を防いだり、熱交換器を活用して冷暖房の負荷を軽減したりすることで、省エネ効果が期待できます。

きのこ栽培を事業として始める際は、初期費用だけでなく、毎月発生する電気代も含めて計画を立てましょう。

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