生産者に聞いたキノコ栽培工程と培養方法のコツ

2022/02/22

きのこ栽培システム

キノコ栽培初心者にとって難しいのが、培養のための環境作りです。 品質の良いキノコをたくさん収穫するためには、栽培に適した温度・湿度などをしっかりと把握しておく必要があります。
そこで今回は、茨城県にある七会きのこセンターの渡辺さんに伺った菌床栽培のコツや気をつけるべきポイントをご紹介します。

キノコが育つ培地づくり


①培地作り


培地とは、キノコが生育する土台のことです。 「おが粉」と呼ばれる木のチップと飼料用の穀物、そして水の3つを混ぜ合わせミキサーで練りこむことで、キノコが生育するのに適した状態を作ります。
菌床栽培は、培地を詰める容器によって「ビン栽培」と「袋栽培」に分けられます。 ビン栽培では、先ほど作成した培地を「菌糸瓶」に詰めます。 対して袋栽培では、「菌糸ブロック」と呼ばれる袋に培地を詰めます。 七会きのこセンターさんではビン栽培でマイタケやアワビタケ、袋栽培でキクラゲやシイタケといったキノコを生産されています。


ポイント おが粉・穀物・水を混ぜた瞬間からバクテリアなどがどんどん発酵を促してしまうため、速やかに瓶や袋に詰めて、次の殺菌工程に移ります。



②殺菌

容器に詰めた培地を高圧殺菌窯で最高118℃まで上げ殺菌します。 培地の中にはキノコ以外の菌類やバクテリアなどがいるため、必ず殺菌する必要があります。



③放冷

殺菌した培地を放冷室で急激に冷却します。 窯から出したばかりの培地は100℃ほどあるため、種菌を接種できる15℃~20℃まで温度を下げます。 雑菌が混入しないよう、放冷工程はクリーンルーム(無菌室)内で行われます。


適切な環境作りのポイント


④接種

培養した菌糸や胞子の塊などからなる「種菌」を培地に植え付けます。



⑤培養


キノコの品種にもよりますが、短いもので3週間程度、長いものでは3ヵ月程度の時間をかけて培地にきのこ菌を蔓延させます。


ポイント 培養期間中は一定の温度と湿度を保つ必要があります。 温度は20℃~23℃、湿度は80%程度になるよう温度コントローラや湿度コントローラ、超音波加湿器で管理します。

ポイント 培地作りの工程と同様、雑菌には注意が必要です。 雑菌が入ると菌床からキノコが発生しないだけではなく、ほかの菌床にまで害が及ぶことがあるため毎日雑菌に侵された菌床がないかチェックを行います。 万が一雑菌に侵された菌床を見つけた場合はすぐ外に出して廃棄します。



⑥発生

温度に変化をつけることによってキノコの発生を促します。 例えばシイタケでは、室温を20℃まで上げた後、15℃まで下げ温度差を作ります。 また、発生したキノコの形を整えるためにはCO₂と光の管理が必要です。 それぞれ専用のコントローラや照明により調節します。


ポイント 換気の際、直接外気を取り込んでしまうと、外気温の影響を受け空調機に大きな負荷がかかってしまいます。そこで熱交換器を通し換気することで室温に近い温度で取り込み、空調機にかかる負荷を減らします。


キノコの収穫とまとめ


⑦収穫

発生したキノコは袋から取り出した後、7日から10日ほどで最初の収穫を迎えます。 最初の収穫から20日~30日ほど休ませ、その後2回目、3回目と繰り返し発生・収穫を行います。 七会きのこセンターさんでは、60坪のハウス(6000~8000菌床)で1日30㎏~60㎏程のシイタケを収穫しています。



まとめ

キノコの菌床栽培は原木栽培と異なり、環境をコントロールすることができるため同年栽培が可能で品質と収量を安定させることができます。研究により栽培方法も確立されているため、異業種からの参入や新規事業としても始めやすいです。

弊社ではキノコの栽培に欠かせない温度・湿度・照明コントローラを始めとした各種機器を開発・製造・販売しております。 設備の導入から収益試算までのトータルコーディネートも承っておりますので、お気軽にお問合せください。





今回お話を伺った七会きのこセンターさんでの工場見学の様子をYouTube上で公開しております。 記事内で登場した菌床や培養室など、貴重な栽培現場を撮らせていただくことができましたので是非ご覧ください。
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