きゅうりの病気の見分け方。知っておきたい病害対策方法

2023/08/10

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きゅうりがかかる病気の種類は多く、現れる症状は様々です。高温・多湿・ハウス内空気の停滞などの栽培環境が続くと、カビ(糸状菌)やバクテリア(細菌)が繁殖しやすくなります。この記事ではきゅうりの病気の見分け方と対策方法について解説します。

高温・多湿で発生しやすいきゅうりの病気

きゅうりの促成・半促成栽培では、栽培初期から終了までの全ての期間でうどんこ病が発生する可能性があります。うどんこ病以外の病害は、ハウスの換気が少なくなる11月から春先にかけて発生しやすくなります。とくに暖房の稼働が減って空気が停滞する時期や草勢が落ちてくる時期には注意が必要です。

ここでは高温・多湿・乾燥(一部)で発生しやすいきゅうりの主な病気と症状について説明します。



●うどんこ病

うどんこ病は他の病害と大きく発生の傾向が異なり、乾燥状態で発生します。形態的には他の病害と同様にカビが原因の病気で、初期は小さな白い斑点が現れ、症状が進むと葉っぱ全体にうどん粉を振りかけたように白くなり、やがて全体に広がることで枯死し生育を阻害するため、甚大な被害につながります。



●べと病

カビによる病気で、葉だけに発生します。淡い黄色の病斑が現れ、葉脈に沿って角ばった黄紋斑に変わっていきます。



●灰色カビ病

ボトリティス菌という糸状菌が原因の病気で、果実のヘタ部分やつぼみなど水やゴミがたまりやすい所に発生します。発病すると病斑部が灰白色~褐色に変色し、やがて腐敗、軟化します。



●斑点細菌病

初期は水が染みたような斑点ができ、次第に拡大して葉脈に囲まれた黄褐色の病斑になります。果実に発生すると軟化して腐敗に至ります。



●褐斑病

病斑は淡褐色で、べと病や斑点細菌病のように葉脈に沿うことはなく、不整形の病斑が見られます。主に下葉から発生し徐々に中上位様に遷移します。果実には被害は見られません。

きゅうりの病気の発生原因と予防対策3つのポイント


おもな病原菌は高温多湿な環境を好みます。ハウス栽培の場合は露地栽培より高温多湿になりやすいので特に注意が必要です。ここではきゅうりの病気の発生原因と予防対策について解説します。



ポイント① 風通しを良くする

密植を避け、下葉を摘葉するなどして風通しを良くすることで湿気がこもりにくくなります。ハウス栽培の場合は換気扇や循環扇をまわしたり、天窓や側窓を開けるなどして換気を行い、湿度を調整しましょう。
促成、半促成栽培では、早朝の換気開始が遅れるとハウス内の気温が急激に上昇し、作物全体(とくに葉・果実)が結露し、諸病害の発生原因となります。また、温度上昇を抑えようと大きく換気を行うことで外気の急激な乾燥にさらされることとなり葉裏の気孔が閉じ気味になる傾向があります。
気温が上がる前の早い時刻から狭い幅の「予備換気(スカシ換気)」を行い、気温、湿度の変化の速度が最小限になるよう工夫してください。



ポイント② 肥料の与え過ぎに注意する

肥料の与えすぎで窒素過多になると、体内の代謝が異常となって病害への抵抗性が低下します。そうなると病気にかかりやすくなる上に、病気の進行も早まります。
同時に肥料の不足、着果負担のかけすぎも病害発生の原因となります。葉色の濃すぎ薄すぎ、茎径の太さ、花の開花位置が芽先に近すぎないかなど、作物の状態をみてうすい液肥での潅水を行うなど、こまめな追肥、潅水を心がけてください。



ポイント③ 圃場を清潔に保つ

水はねや土はねが原因による病気もあるので畝をマルチや敷きわらで覆うなど、水や土がはね返りにくくすることが大切です。 また、灰色カビ病など通路に放置した茎葉などにも寄生する菌種があります。病気にかかった葉や実などは畝間に捨てずに圃場の外に持ち出しましょう。

病気が発生した時の対処方法


病気は早期発見が重要になります。きゅうりの病気は特に葉に現れやすいので常に注意しておくことが大切です。もし、症状が見つかったら清潔なハサミで葉を切り落とし、切り落とした葉は圃場の外に持ち出しましょう。 症状が見られたら「治療的効果」のある農薬散布が必須です。病害によっては症状が見られた時には作物内に菌が蔓延している場合があります。葉裏も含めて散布ムラがないようしっかり防除してください。その際、「きゅうり 防除暦」と検索し適宜有効な薬剤を選択ください。


きゅうりは他の野菜に比べて病気にかかりやすい野菜です。ここで挙げた病気の予防ポイント押さえた育て方をすれば、病気にかかるリスクを減らすことができます。病気対策をしっかり行っておいしいきゅうりを育てましょう。



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