温度管理・湿度管理の重要性とアプリケーション事例をご紹介
2025/08/21
コラム

温度や湿度の適切な管理は、品質を保つうえで欠かせない要素です。
本記事では、温度・湿度管理の基本から効果的なシステム構成、さらには実際の活用事例について、わかりやすく紹介します。
温度・湿度管理の基本|なぜ必要?どこで使われている?

適切な温度・湿度管理は、品質を守るために欠かせない要素です。
たとえば、食品製造の現場では、食の安全や品質を守るために適切な温度・湿度管理の徹底が求められています。特に加工・調理の工程においては、食中毒の原因となる雑菌の繁殖を防ぐために厳密な管理が必要です。
食品衛生法では温度や湿度の基準が定められており、調理場は湿度80%以下、温度は25℃以下(扱う食品により要調整)に保つことや、生鮮食品は15℃以下、生鮮魚介類は5℃以下といったように食品ごとに最適な温度が細かく設定されています。
医薬品の現場では、使用する患者の安全を確保するために適切な温度管理を行います。
日本薬局方では室温1~30°C、常温15~25°C、冷所は1~15°Cと定められています。適正温度で管理しなければ、医薬品の劣化や有効成分の変質を招く恐れがあるため、厳密な管理が求められます。
とくに輸送時にはコンテナやボックス内の温度・湿度を一定に保つ必要があり、これらは関連法規の遵守にも関わっています。
温度・湿度をコントロールする方法とシステム構成の考え方

管理対象や環境条件によって管理方法が異なるため、目的に応じたシステム構成が不可欠です。単に「温度を保つ」だけでなく、「どのように制御し、記録し、安定させるか」を考慮する必要があります。
工場や医薬品保管庫などでは、法令遵守の観点からデータロガーを使った温湿度記録が求められます。食品衛生法や医薬品関連法では、一定期間の記録保持が義務付けられる場合もあるため、システムは「制御+記録」が前提となります。
ボックス型の保管庫や配送トラックなど移動用の輸送設備では、コンパクトなセンサーとコントローラを活用し、スペースを取らずに高精度な管理を行うケースが増えています。
このように、温湿度の管理は「測定」「制御」「記録」の3要素を組み合わせたシステムとして設計することが重要です。
活用事例に学ぶ!温度・湿度管理のアプリケーション
温度や湿度を一定に保つには、制御用のコントローラが不可欠です。システムや機器が正常に動作するように管理や制御を行う、まさにシステムの司令塔です。
ニッポーでは、設定された目標値に対してリアルタイムで温湿度を測定し、ヒーターや加湿器などの外部機器を的確に制御するための温度コントローラや湿度コントローラを製造販売しています。
ここからは、弊社の温度調節器「DG3000」と湿度調節計「DG3000hu」を使用したアプリケーション例をご紹介します。
ワインセラーの場合|熟成品質を支える温湿度の自動管理

ワインの熟成に最適な環境は、一般に12〜15℃の低温と、湿度60〜70%とされています。DG3000はセンサーを通じてセラー内の温度を常に測定(監視)しています。
室内温度が設定温度を超えたことを検知すると、冷却ユニットへの出力端子から信号を送り、冷却を開始。温度が目標に到達すれば自動でOFFとなり、過冷却や急激な温度変化を防ぎます。
湿度管理にはDG3000huを使用します。湿度が60%を下回った場合に加湿器へ出力を行い、設定した65%まで自動で調整。乾燥によるコルクの収縮や、ラベルの剥がれといった品質トラブルを未然に防ぎます。

発酵室の場合|温湿度が味と見た目を左右するパン製造工程

パンの製造では、生地の発酵が味や膨らみに直結するため、30〜35℃前後の温度と70〜80%の湿度が必要とされます。
DG3000はヒーターと連動し、設定温度より低い場合には目標温度に達するまでヒーターへ出力を行います。過昇温になると出力を絞って微調整を加えます。
湿度制御はDG3000huが担います。こちらも加湿器と直接接続され、設定した湿度を下回ると自動で加湿を開始します。

きのこ栽培(菌床栽培)|繊細な環境制御で安定した生育を実現

シイタケ、エリンギ、ヒラタケ等きのこの菌床栽培では、きのこの種類と栽培段階(培養、発生、生育など)によって最適な温度・湿度条件が異なります。例えばシイタケの場合、培養期には温度18~20℃、湿度65~75%。発生・生育期には温度10~28℃、湿度70~80%が必要とされます。そこでDG3000は、センサーを通じて栽培室の温度を常時測定し、設定温度に達するまでエアコン等の空調機器へ出力を送り、加温または冷却を自動制御します。
一方DG3000huは、加湿器と連動させます。室内の湿度が設定値から外れた場合、加湿を行います。管理を自動化することで生育不良や品質低下を防ぎます。

温度・湿度管理は、品質を守るうえで欠かせない要素です。温度調節器(DG3000)と湿度調節器(DG3000hu)を使えば、複雑なシステムを構築せずに精密な環境制御が可能です。
ワインセラーや発酵室、温室など多様な現場に対応し、安定した運用を実現します。
ニッポーは温度管理や湿度管理が得意な制御機器メーカーです。回路設計から制御システム、クラウドの構築まで幅広く対応しています。多数の実績と豊富な経験を通して培った独自のノウハウを駆使して、お客さまのご要望に合わせた的確なご提案が可能です。
温度・湿度の自動管理を検討している方はぜひお問い合わせください。