回路設計と機構設計の違いとは?使われるCADソフトやその特徴を解説
2025/03/06
ODM基板開発

「回路設計」や「機構設計」は、製品開発に欠かせない重要な工程です。回路設計ではアナログ回路やマイコンを活用した基板設計が求められ、機構設計では筐体設計や構造設計が求められ、各々が製品の性能を左右します。
本記事では、回路設計と機構設計の違いや共通点を解説し、それぞれに適したCADソフトとAIを活用した最新ツールの特徴を紹介します。
回路設計と機構設計の違いとは?

製品開発において「回路設計」と「機構設計」はそれぞれ異なる役割を担いながら、密接に関わり合っています。それぞれの特徴や工程を理解することで、効率的かつ高品質な製品開発が可能になります。
回路設計とは
回路設計とは、電子機器内部で使用される基板や回路の設計を指します。
アナログ回路やデジタル回路を駆使し、必要な機能を実現することが主な目的です。例えばオペアンプやマイコンを用いた信号処理や制御機能の設計が含まれます。さらにUSB接続や通信機能など、外部機器との連携も考慮しながら設計を進めます。
機構設計とは
機構設計とは、製品の外観や構造を設計する工程です。
筐体設計や構造設計が含まれ、耐久性や美観、製造性など、多角的な観点から製品の完成形を形作ります。機械設計の一環として行われることが多く、機能性だけでなく製品全体の使用感や安全性を考慮する点が特徴です。
回路設計と機構設計の大きな違いとして、回路設計が電子的な内部機能の設計に重点を置くのに対し、機構設計は物理的な形状や外部環境への対応に焦点を当てる点が挙げられます。
共通点としては、両設計ともエンジニアの創造力とアイデアが不可欠であることが挙げられます。また両者は密接に関連しており、例えば回路基板が収まる筐体設計は回路設計との協調が必要で、こうした連携をスムーズにすることでより効率的な製品開発が実現します。
回路設計と機構設計に使われるCADソフトの種類と特徴

回路設計や機構設計を進める上で、CADソフトは欠かせないツールです。それぞれの設計分野で使用されるCADソフトには、分野特有の機能や特徴があります。
ここではそれぞれの設計で求められるCADソフトの特徴を解説します。
■ 回路設計のCADソフト
回路設計で使用されるCADソフトは、電子部品を用いた回路図の作成やシミュレーション、基板レイアウト設計などを行うために特化した機能を備えています。
特にアナログ回路やデジタル回路の動作を事前に確認するシミュレーション機能は重要です。この機能により設計段階でオペアンプやマイコンを使用した回路が正しく動作するかを確認でき、試作段階でのトラブルを減らすことができます。また基板の配線や部品配置を効率的に設計できる機能も重要です。例えば「OrCAD」や「Altium Designer」などは、こうしたニーズに応えるソフトとして多くのエンジニアに利用されています。
■ 機構設計のCADソフト
機構設計で使用されるCADソフトは、製品の外観や構造を3Dで設計し、それをもとに2Dの図面を作成する機能を備えています。
筐体設計や構造設計では、部品間の干渉や放熱性を検討するために三次元でのモデリングが欠かせません。また製造現場で必要となる寸法や仕様を正確に伝えるための図面作成機能や、材料特性や力のかかり方を解析する機能も重要です。こうした要件を満たすソフトとしては、「SolidWorks」や「AutoCAD」が広く使われています。
さらに近年では、AIを活用した次世代型CADソフトが注目を集めています。AIを搭載したソフトは設計案の自動生成やエラーの検出を行い、エンジニアの負担を軽減します。例えば回路設計では動作シミュレーションの精度を向上させ設計ミスを未然に防ぐサポートをし、機構設計では強度解析や動作シミュレーションを高速で行い設計プロセス全体の効率化を実現します。これによってエンジニアが設計に集中できる環境を整えるとともに、より短期間での製品開発が可能となります。
回路設計と機構設計の押さえるべきポイント

回路設計と機構設計では、それぞれ異なる視点や注意点が求められます。どちらも製品開発において重要な役割を果たし、設計の基礎やポイントをしっかりと押さえることが完成度の高い製品を生み出す鍵となります。
ここでは設計工程の基礎と、それぞれの分野で重要なポイントについて解説します。
回路設計と機構設計のどちらにも共通して言えるのは、設計を始める前に明確な目標や仕様を定めることが重要であるという点です。
例えば回路設計では、どのような動作を実現する回路が必要なのかを明確にし、それに合わせた部品選定や設計手法を検討します。一方機構設計では、製品の形状や構造が使用環境や機能に適しているかを考慮して設計を進めることが重要です。
またどちらの設計においても、CADソフトやシミュレーションツールを活用して、試作段階のトラブルを最小限に抑えることが効率的な設計の基礎となっています。

●回路設計のポイント
回路設計では、まず回路全体の安定性を確保することが重要です。例えばアナログ回路では、nf(ノイズフィルタリング)を適切に設計することで、信号の品質を維持して誤動作を防ぐことができます。またデジタル回路やマイコンを使用する場合には、動作クロックや通信速度(例:USB規格)を考慮し、回路の性能を最大化する工夫が必要です。
さらにオペアンプや半導体部品を使用する際には、それぞれの特性を正確に把握し、適切な設計条件を設定することがポイントです。特に基板レイアウトでは、部品間の距離や電源ラインの配置が性能に大きく影響するため、慎重な検討が求められます。
●機構設計のポイント
機構設計では、製品の筐体設計や構造設計が製品全体の品質や使いやすさを左右します。まず耐久性や放熱性など、製品の機能性を高めるための構造を考えることが重要です。例えば内部の回路基板が安全に収まり、外部からの衝撃を最小限に抑える設計が求められます。
さらに製品の外観や触り心地といったユーザー体験も設計の重要な要素です。筐体の素材や形状を工夫することで、製品の使いやすさや見た目の良さを実現できます。また、製造工程やコストも考慮し、設計と生産のバランスを取ることが求められます。
ニッポーでは、電気・電子回路の設計から、プリント基板の設計、制御システムの構築まで、幅広く対応しています。多数の実績と豊富な経験を通して培った独自のノウハウを駆使して、お客さまのご要望に合わせた的確なご提案が可能です。詳細を知りたい方は、当社までお気軽にご相談ください。