PWM制御とは?仕組み・原理・メリット・使用例をわかりやすく解説
2022/09/16
コラム
パソコンやサーバー、家電製品、自動車などの電子機器には、モーターやファンが多く使われています。これらの回転数や出力を効率よく調整する技術のひとつがPWM制御です。
モーターやファン、LED、インバーター回路など幅広い機器に使われ、省エネ化や静音化にも貢献するPWM制御技術ですが、どのような原理なのでしょうか。
そこで本記事では、PWM制御の仕組みや原理、メリット・デメリット、使用例についてわかりやすく解説します。
PWM制御の原理

PWM(Pulse Width Modulation)とは、半導体を使った電力制御方法のひとつです。日本語ではパルス幅変調と呼ばれ、スイッチのONとOFFを高速で繰り返すことで負荷へ供給する電力を調整します。
PWM制御の仕組みを簡単にいうと、「電気を流す時間の割合を変えて出力を調整する方法」です。ONの時間が長ければ出力は大きくなり、OFFの時間が長ければ出力は小さくなります。
このON時間の割合を示すのがデューティ比です。
例えば1周期のうち半分だけONであればデューティ比は50%、8割がONであれば80%です。デューティ比を高く設定するとモーターの回転数やLEDの明るさは上がり、低く設定すると下がります。
またPWM制御では周波数の設定も重要です。周波数が低すぎると、LEDではちらつきが発生しやすく、ファンやモーターでは振動や音が目立つ場合があります。一方周波数を高くしすぎると、回路の損失やノイズ対策が必要になることもあります。そのため、用途に合わせてデューティ比や周波数を適切に設定することが重要です。
加えてマイコンを使う場合は、プログラムによってPWM信号を出力できます。タイマー機能を使って周波数とデューティ比を設定すれば、LEDの調光やモーターの速度制御を比較的簡単に行うことが可能です。
PWM制御の使用例
PWM制御は電力を効率よく制御できるため、消費電力の低減や静音化、出力調整が必要な場面で活用され、モーターやLED、インバーター回路など、さまざまな機器で使われています。
冷却用ファンモーターの回転数制御

PWM制御の代表的な使用例が、冷却用ファンモーターの回転数制御です。パソコンや電子機器では、内部の温度上昇を抑えるためにファンが使われています。
ファンを常に最大回転で動かすと、冷却性能は高まりますが、消費電力や動作音も大きくなります。そこでPWM制御を使えば、温度が低いときは回転数を下げ、温度が高くなったときだけ回転数を上げることができます。
このPWM制御によって、必要な冷却性能を確保しながら、無駄な電力消費や騒音を抑えやすくなります。冷却性能と静音性を両立したい機器では、PWM制御が有効です。
LEDの明るさ調整

また、LEDの明るさ調整にもPWM制御が使われます。LEDを高速で点灯・消灯させてONになっている時間の割合を変えることで、人の目には明るさが変化しているように見えます。
デューティ比が低い場合は暗く見え、デューティ比が高い場合は明るく見えます。電流を連続的に細かく変えるのではなく、ON/OFFの時間を変えて明るさを調整できる点が特徴です。
ただし、PWM制御の周波数が低いと、ちらつきが見える場合があります。照明用途ではちらつきが不快感につながることもあるため、用途に合わせた周波数設定が必要です。
インバーター回路

さらにPWM制御は、インバーター回路にも使われています。インバーターは、直流を交流に変換したり、モーターの回転数を制御したりするための回路です。
PWM制御を利用すると、スイッチングのON/OFF時間を調整しながら、目的に近い出力波形を作れます。そのため、エアコンや洗濯機、ポンプ、コンプレッサーなど、モーターを効率よく動かす機器で活用されています。
インバーター回路にPWM制御を組み合わせることで、モーターの回転数を細かく調整しやすくなります。必要な出力に合わせて運転できるため、省エネ化にもつながります。
PWM制御でモーターのデメリットを解消

モーターは、電圧を変えることで回転数を調整しますが、回転数を落とすために電圧を下げる方法にはいくつかのデメリットがあります。
まず、電圧を調整するための回路が必要になり、構成が複雑になりやすい点が挙げられます。また、余分な電力が熱として失われる場合があり、発熱や効率低下につながります。さらに低速時にトルクが不足したり、負荷が変化したときに回転が安定しにくくなったりすることもあります。
それらのデメリットを解消するためにPWM制御を用いれば、電源電圧は一定のまま、デューティ比の調整によってモーターの回転速度を制御することが可能です。ONの時間を長くすればモーターに供給される平均的な電力が増えて回転数は上がります。反対に、ONの時間を短くすれば回転数を下げられます。
この仕組みによって、電圧を連続的に変える方法と比べて、効率よくモーターを制御しやすくなります。回路を比較的シンプルにしながら、ファンの風量調整やモーターの速度制御を行える点がメリットです。
◆PWM制御の注意点
設定する周波数や負荷の状態によっては、モーター音、ノイズ、発熱が発生する場合があり、さらにモーターの起動時には大きな電流が流れることもあるため、回路部品の容量や保護設計にも注意が必要です。
PWMを使った制御技術は、モーターやファン、LED、インバーターなど、私達の身近な電気製品に欠かせない技術です。弊社ではこうした技術を応用し、様々な分野でアプリケーションの開発を承っております。 モーター制御やファン制御、各種電子機器の開発についてお困りの方は、お気軽にご相談ください。
※本記事は2022年9月16日に更新した記事をリライトしたものです。


