冬のハウス栽培は日射量に合わせた環境管理で光合成を最大にしよう

2024/01/30

農業用コントローラ

作物は太陽の光を唯一のエネルギー源として光合成をおこない、糖を生成しています。その材料として二酸化炭素と水は大切なものです。料理に例えると、食材+ガスや電気等のエネルギーがあって初めて料理が出来るのと同じです。もし火力が弱いちょろちょろの炭の上に大量のお肉を炙っても料理できるのは一部のみ。作物も同様に、二酸化炭素と水がたくさんあっても、しっかり光合成出来なければ、全ての材料をエネルギーに変換することが出来ないのです。この記事では日射量によってハウス内の環境を最適に管理し、光合成を最大化させる方法をご紹介します。


日射量にあわせた炭酸ガスの施用方法

冬季に日射量が減るのは皆さんもご存じのことですよね。これは日照時間が減少するのではなく、太陽の角度が低くなるためです。(下図)

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この日射が少ない季節に、気温、炭酸ガス、潅水、肥料などが過剰に投入されても使い切れないのは想像しやすいのではないでしょうか。分かりやすい例として、冬と春先の潅水量が大きく異なるのは、日射量と空気の乾燥度合が大きく異なることに起因しています。つまり必要な熱量(日射量)に材料(水、炭酸ガス、温度)を合わせていくことが大切です。

▲<1980 伊東正「異なる光強度下におけるキュウリの純光合成速度に及ぼすCO₂濃度の影響」>


上図はそれぞれの日射量の際に、炭酸ガス濃度(グラフ下の数値)を濃くしていくと光合成の速度(稼ぎの量、グラフ左の数値)がどう増えていくかを表すグラフです。
右端の数値は日射量の強さで、580と書いてあるのは「ハウス内日射量が強い晴天日の日射量」です。下に行くにつれて曇天、雨天と暗くなっていくことを表しています。

つまり、日射が強い日(季節)は炭酸ガス濃度を濃く施用するほど光合成速度が増加します。コスパがとても良いです。一方で日射量が弱い日は炭酸ガス濃度を上げても効果が伸びない、コスパが非常に悪いことが明らかです。このグラフを見ると日射量次第で炭酸ガス濃度を適切に変える必要があることが分かります。

日射量にあわせた温度管理の方法

これは炭酸ガスだけでなく、温度管理も同様です。
下図は炭酸ガス濃度と温度が高くなるにつれて光合成速度が速くなる傾向になることを表しています。


炭酸ガス濃度が同じ700ppm(μmol/mol)でも、温度が低い場合と高い場合とでは光合成速度が異なります。(※ただし、気温が高すぎると呼吸や酵素の失活で損をするため注意が必要です。)

季節ごとの日射量の増減はもちろんのこと、加えて日々の天候による日射量の動きを注視して手動で追随するのも手ではありますが、作業管理に集中すること、判断の正確さを含めて、日射量に追随する様々な管理調節を自動化するのも有効です。

日射量にあわせた環境制御は自動化がおすすめ

日射量の変動に様々な管理を同調、追随させて光合成の効率を最大化する、転流も促進するためにニッポーではいくつかの方法を準備しています。

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上図は統合環境制御盤「ハウスナビ・アドバンス」、天窓・カーテン・暖房制御盤「換気ナビ」での温度管理の日射加算イメージです。
実際はもっと緻密、複雑に動きますが、日射量の移動平均値、積算値を併用して管理温度、転流温度に反映させることができます。日射センサーが常に監視して管理温度を調節します。日々の天候、日中の日射量変化にも対応できるため、生産者様は作業に専念することができます。
炭酸ガス濃度も、日射量の強い日は濃く弱い日は外気並み濃度にするため、無駄な燃料は使いません。同様に潅水も日射量によって蒸散する分を細かくきっちり自動で補う作業を生産者様の代わりに1日中やってくれます。

今後の農業は精密な管理を楽に実践して、人手を減らしながら利益を拡大する必要があります。とくに精度が高い機器を強みとするニッポーにぜひご相談ください。

【執筆】
アグリアドバイザー 深田正博

熊本県野菜専門技術員・普及指導員の経験があり、現在は株式会社ニッポーのアグリアドバイザーとして現場目線の栽培指導やセミナーの講演を行う。



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