液肥の種類と使い方。化学肥料を低減させる2つのポイントをご紹介

2023/03/28

農業用コントローラ

液肥(液体肥料)は肥料成分を水溶液にしたもので、固形肥料と比較して速効性が高いこと、葉面散布や土壌灌注など作物の状態に合わせて施肥できるといったメリットがあります。農業用液肥は希釈して使うものがほとんどであり、土壌成分や用途によって濃度を調整する必要があるなど難しさも持ち合わせています。この記事では、液肥の種類や使い方を確認しながら、少ない肥料で最大の効果を得るためのポイントをご紹介します。

液肥の種類


液肥として販売されている市販品の多くは化学合成されたものであり、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の3要素をメインに、用途に合わせてカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)などの中要素、鉄やマンガンなどの微量要素が加えられているものがあります。 魚かすや米ぬか、麦芽酵母などの天然由来の原料から生成された有機成分を化学肥料に配合したものが有機入り液肥です。

農業用液肥は作物の種類や用途(草勢促進や糖度増加、収量増加など)ごとに、N-P-K(窒素、リン酸、カリウム)の配合バランスと、その他の成分を加えたものが市販品として販売されています。 20kgBIB(液体容器ダンボール)や5L、1Lのボトルなどの荷姿のものが多く、N-P-Kの数値が表示されています。

液肥の使い方


市販されている液肥のほとんどは、液肥混入、土壌潅注、葉面散布等で使うことができます。数百倍に希釈して使うものが多く、根からの吸収と茎葉からの吸収に違いがあることから、茎葉にかかる形で散布する場合は、土壌に施肥する場合に比べて薄い濃度を指定しているものが多くあります。
また、土壌の質や状態によっても施肥すべき肥料成分は大きく異なり、N-P-Kの濃度と他の成分を決める必要があります。土壌診断を活用して不足する栄養素を特定し、生育状況を見極めながら液肥の成分を最適化していきます。

化学肥料を低減させる2つのポイント


環境負荷に対する意識の高まりや肥料価格の高騰から化学肥料の削減を図ることも農業経営に求められています。


◆日射比例潅水と合わせて液肥を使う

土壌水分量の変動が大きい手動による潅水方法に比べ、日射センサーと制御装置を用いた日射比例潅水は土壌水分量をきめ細かく管理することができます。肥料成分は土壌の水分とともに作物に吸収されるため、作物が必要とする水分量と合わせて液肥を与えることが最も効率的に肥料を吸収させる方法です。 この時、成長点の茎径や葉色、汁液硝酸イオン濃度をチェックし施肥量が足りているかどうかを確認することが重要です。
液肥の使用量を減らす方法というより、肥料を必要な分だけ使うという意味で日射比例潅水は有力な方法であり、結果的に化学肥料の低減にもつながります。



◆土壌改良を行う

肥料の3要素であるN-P-Kのうちリン酸(P)は土壌に十分蓄積されている場合があります。土壌内にリン酸があるのにもかかわらず吸収されていない場合、土壌が酸性化し、鉄やアルミニウムとリン酸が結合し作物が吸収できなくなっていることが考えられます。
潅水に使用する水の鉄の濃度に注意し、曝気(ばっき)して鉄やマンガンを酸化・沈殿させることでリン酸結合を回避することができます。 これに加え、リン酸を多く含む畜産由来の堆肥や腐植などの固形肥料を併用すれば液肥の量を大幅に削減できます。他にも、育苗ポットへのリン酸の局所施肥や地温を上げて作物の吸収効率を高めることなども液肥の施肥量を削減することにつながります。




化学肥料削減は農水省の「みどりの食料システム戦略」のなかでも触れられている点であり、施肥のスマート化による効率的な肥料の活用、堆肥や下水汚泥など有機原料の活用といった指針が示されています。基本となるのは土壌と作物に必要な最低限の肥料を効率的に使うということです。経験に頼るだけではなく土壌成分の分析や生育状況を記録するなどデータを活用していくことが化学肥料の削減につながります。



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