土壌水分計で適切な潅水をしよう!センサーの種類と選び方

2022/09/29

農業用コントローラ

土壌水分計とは、土壌に含まれる水分量を測定する機器です。農業分野のほか、盛土工事や土壌分析などの土木分野、一般家庭でのガーデニングといった分野まで幅広く使われます。価格は千円台から数万円までさまざま。使い方は「測定部を土に挿すだけ」と簡単ですが、「数分」でわかるものから「数時間」かかるものまで販売されています。この記事では、「土壌水分計」の基本情報や仕組み、センサーの種類や選び方をご紹介します。

過不足のない潅水の重要性


土壌の水分が不足すると、植物は体内の水分を維持できなくなるため、蒸散をやめてしまい、水・肥料の吸収、二酸化炭素の取り込みが難しくなります。その結果、光合成が抑制され、うまく生育できなくなります。反対に土壌の水分量が多いと根腐れする危険があるため、品質の良い作物を沢山収穫するためには過不足のない潅水を行うことが重要なのです。
最近では、蒸散量と日射積算量に相関性があることが明らかになったことで、積算日射量に応じて潅水の頻度や水分量を調整する「日射比例潅水」への注目も高まっています。


土壌の水分測定を行う仕組み(原理)

土壌水分の測定方法として、代表的な仕組み(原理)は次の2つです。


誘電率測定法


土壌の誘電率を測定して水分量を求める方法が「誘電率測定法」です。誘電率が体積含水率によって変わる特性を利用して測定します。代表的な水分計法として、TDR法やADR法、キャパシタンス法があります。



テンシオメータ法


素焼きのポーラスカップを土に挿し、マトリックポテンシャル(吸引圧)を測定する方法が「テンシオメータ法」です。本体に水を入れ、「カップからどれだけ水分が吸引されたか(負圧)」を測ることで、土壌の水分量を求めます。

センサーの種類と選び方をご紹介


土壌水分計にはさまざまな種類があるため、用途に合わせて最適なセンサーを選びましょう。



①表示方式で選ぶ(デジタル・アナログ)

1)デジタル表示
検出した水分量を数値で表示するのが「デジタル表示」。数値で知りたいときにおすすめです。

2)アナログ表示
検出した水分量をメーター上に針で示すのが「アナログ表示」。メーターに水分量の適正範囲が色分けされている機器が多く、土壌水分の多寡がひと目でわかります。


②測定方法で選ぶ

土壌水分計の測定方法には、先に紹介した通り「誘電率測定法」と、「テンシオメータ法」があります。

誘電率測定法は土壌の誘電特性を利用し測定します。水に対し空気、土の比誘電率は小さく(水80程度・空気1・土粒子2~5)、含まれる水の量によって土壌全体の比誘電率が決まるため、誘電率の変化を土壌水分として測定します。土壌の密度や鉱物組成が多少変わってしまっても、頻繁に補正をせず土壌水分量の測定ができます。
安価な物から高価なものまで幅広くあり、精度や用途に応じて選ぶことができます。(誘電特性の測定方法によっていくつかの種類があります)

テンシオメータ法は1900年代に開発された歴史ある測定方法です。空気は通さず水を通す容器内(素焼きカップ)に水を入れ、土壌が乾燥すると素焼きカップを通し外側に水が引っ張られ容器内の圧力が下がります。この圧力変化を利用し土壌水分を測定します。
粘土質の土壌は水の保持力が強く、水分はあっても作物が利用出来ないなど土質によって作物が利用できる水分量は異なります。作物の根が土壌から吸収し利用できる程度を知りたい場合はテンシオメータ法での測定が良いでしょう。




③反応時間で選ぶ(数秒~数時間)

測定時間は一般的に、誘電率測定法が数秒と短く、テンシオメータ法は数時間かかる機器が多数です。


④その他の機能で選ぶ

その他に、次のような機能を持つ機器が販売されています。

1)スマホ連動型
水分計に通信機能がついており、測定したデータをスマホで見ることができます。

2)データロガー機能
土に挿しっぱなしにして、測定データを機器内に保存する機能を持つ水分計。数値の変化を確認したいときに便利です。


以上、「土壌水分計」の基本情報や仕組み、センサーの種類と選び方をご紹介しました。 土壌水分計は挿す場所や深さによって数値が異なるなど、課題もあります。そのため、土壌水分計の測定数値だけで潅水のタイミングを判断することは難しいのですが、一つの判断材料として参考にすることができます。 ぜひ今回の内容を参考に、ご自分のほ場に最適な土壌水分計を選んでみてください。






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