マッシュルーム栽培を始めるために必要な設備と育て方

2023/12/15

きのこ栽培システム

クセのない味わいから料理に使いやすく、世界で最も生産されているキノコとも言われる、マッシュルーム。食生活の洋食化や健康志向が広がるなかで、近年日本でもその需要が拡大する傾向にあるともいわれ、栽培を始めようかと検討している農家も多いのではないでしょうか。
この記事では、マッシュルームの栽培を成功させるために必要な施設や育て方について解説していきます。


マッシュルーム栽培に必要な設備


まずは、マッシュルーム栽培に必要な設備をご紹介します。キノコ栽培にとって重要な温度と湿度の管理のために、以下の設備を揃えましょう。

●栽培室

高温(60℃以上)、高湿(90%以上)に耐えられ、充分な換気が可能である清潔な部屋が必要です。広さは様々ですが、最近では初期コストを抑えるために、小規模なコンテナで栽培を始め徐々に面積を増やす方もいます。

●栽培ベッド

マッシュルームを栽培するための培地を敷くために使用します。マッシュルーム栽培は舞茸栽培や椎茸の菌床栽培とは違い、袋でも瓶でもなく栽培ベッドを用います。

●温度調節計と湿度調節計

▲デジタル温度調節計「DG3000」(左)、湿度調節計「HCシリーズ」(右)

マッシュルームに限らず、キノコの栽培では温度と湿度を適切に管理することが非常に重要です。

●CO₂コントローラ

▲CO₂コントローラ「CO₂NAVI」

栽培室内のCO₂濃度を適切に保つために使用します。

●加湿器

▲超音波加湿器「霧風」

マッシュルーム栽培には高湿度な環境を作り出す事が必要になるため、きのこ栽培専用の加湿器が必要になります。様々な種類がありますが、粒子が細かく効率的に湿度を高められることから、超音波加湿器がおすすめです。

●熱交換器

▲熱交換器「涼風」

他のきのこ同様、マッシュルームも酸素を吸って二酸化炭素の出すため、換気を行う必要があります。換気扇を用いて換気を行うことも可能ですが、栽培室内と大きな温度差があると生育不良を起こす原因になります。熱交換器は温度差をできるだけ少なくしながら外気を取り込むことが可能なため、導入することをおすすめします。

●加温機器

後述しますが、マッシュルームは発酵時に栽培室内を60℃以上にする必要があるために加温機器が必要です。こちらも、栽培室の広さに合わせて選定してください。

●簡易pHメーター

培地の製造時に使用するため、pHメーターも揃えましょう。簡易的なものであれば、数万円から販売されています。

マッシュルームの栽培方法


次にマッシュルームの栽培方法を、6つの段階に分けてご説明します。 マッシュルームの栽培は細かな作業が必要ですので、全ての工程をそれぞれ理解して、マッシュルームの正しい育て方をマスターしていきましょう。

1.一次発酵

まずはワラを用いて菌糸が繁殖する堆肥(培地)をつくります。ワラだけでは窒素量が少ないため、窒素源を加えて発熱発酵を促し、堆肥を作りましょう。

ワラを敷き詰めたら、そこに石炭窒素と尿素を散布し、上にさらにワラを敷き詰めることを5回程繰り返し、層をつくり、最後は上から遮光ネットなど、通気性のあるもので蓋をします。
途中、発酵を均一にするために数回切り返しを行い、14日〜21日程かけて発酵させます。

2.二次発酵

二次発酵の目的は堆肥に生存する病原菌や害虫を殺菌除去することと、堆肥の均一な熟成を図ることです。一次発酵した堆肥をカゴなどに20〜25cm位になるように均等に敷き詰め、まず60℃で約6時間殺菌します。その後、堆肥の温度を45℃〜55℃まで下げ、二次発酵に移行。二次発酵は4日程かかり、余分なアンモニアを放出させて堆肥を熟成します。

3.接種と培養

二次発酵まで終わったら、いよいよ種菌の植え付けです。

温度を25℃以下まで下げた堆肥に、0.4〜0.6%の割合の種菌を均等に混合しましょう。堆肥の温度を24℃前後、培養室の湿度も65%〜75%に調整すると、約2週間で菌糸が堆肥全体に行き渡ります。この培養の際の温度と湿度の管理が特に重要で、マッシュルームの品質に大きく影響するので、細心の注意が必要です。

4.覆土

菌糸が無事に堆肥全体に行き届いても、それだけではマッシュルームはできないため、堆肥の上に覆土をする必要があります。覆土は、赤玉土に炭酸カルシウムや消石灰を混ぜて作り、それを堆肥の上に3cm程の厚さで均等に敷き詰めれば完了です。

5.発生の準備

覆土からおよそ2日後、表面に無数の菌糸が伸びてきます。換気扇で室内に新鮮な空気を取り入れ、室温を15〜17℃に下げ、湿度も80%前後に保ちましょう。
この状態を維持すると、白い塊(ピンヘッド)が発生してきます。この一部がマッシュルームになるのです。

6.収穫

覆土後から18〜21日後、ピンヘッドが大きく成長すると、いよいよ収穫期を迎えます。収穫期間は3〜4ヶ月あり、3〜4日の採取日が、7〜10日位の周期で繰り返されます。 その間も温度と湿度の管理が重要です。室温を15~18℃、湿度を85〜95%程度に維持しましょう。

マッシュルーム栽培は儲かる?経営成功の秘訣


マッシュルーム栽培を成功させる秘訣は、原料を安価で大量に確保することです。そのため、畜産農家や米作農家と協力してマッシュルーム栽培を行うのもオススメです。マッシュルームの廃堆肥はよく熟成しており、有機肥料としても優秀であることから、「厩舎の敷きワラ→マッシュルーム栽培→米作」という原料の循環を作り上げるのです。


いかがでしたでしょうか。ここまでマッシュルーム栽培についてまとめてきました。難しいと感じていたかもしれないマッシュルームの育て方について、今回の記事で必要な設備と、必要な工程を理解できたと思います。
これらをさらに深く学んで、ぜひマッシュルーム栽培を始めるきっかけにしてくださいね。



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