少量多潅水とは?その効果と実証試験をご紹介

2023/01/30

農業用コントローラ

少量多潅水は少量多頻度潅水ともいわれ、土壌水分量の変動を平準化するために潅水の間隔を短くし、1回あたりの潅水量を少なくする潅水方法です。
生育に必要な水分量を安定的に保つことで収量の増加や品質の向上が見込まれるほか、潅水量・液肥量の削減ができます。

少量多潅水とは

手作業で行う1日に1〜2回程度の潅水を、潅水制御機器と潅水チューブを用いて多頻度かつ少量ずつ行うのが少量多潅水です。

主に、吐水量をコントロールしやすい点滴チューブが使われることが多く、潅水のタイミングをタイマー、日射量、飽差や土壌水分量などに応じて制御します。潅水に液肥を混合する養液土耕栽培にも少量多潅水の設備が用いられています。

少量多潅水の効果


少量多潅水に関する実証試験は各地の農業試験場で行われており、隔離床栽培、養液土耕栽培など施設栽培の作物に限らず、露地栽培などさまざまな栽培条件でこれまでの潅水と少量多潅水の比較検証がなされています。

少量多潅水の効果は以下の点が挙げられています。


  • 収量の向上
  • 品質の向上
  • 病害の抑制
  • 潅水量の削減
  • 施肥量の削減

作物の吸水量は一定ではなく、生育時期や蒸散によって変化します。そのため、必要なタイミングに水が足りない場合、反対に、水分が過剰な場合に作物にはストレスがかかります。少量多頻度の潅水で土壌水分を一定に保つことが作物のストレス緩和につながり、収量の増加や品質の向上をもたらします。

また、潅水チューブによって地表面、または、地中から水を供給することで、葉面への水滴の付着が減り病害を防ぐ効果があります。
それ以外にも、作物の吸水が適正化されることにより無駄な潅水と液肥の削減効果も報告されています。

少量多潅水の実証試験


潅水制御機器を用いた少量多潅水は高軒温室施設で作られるトマトやパプリカで早くから導入され、少量多頻度の潅水を好むナスやアスパラガス、その他、きゅうりやメロン、マンゴー、イチジクなどでも採用されています。

以下では少量多潅水が土壌物理性に与える影響の研究結果をご紹介します。


福岡県農業総合試験場
促成ナスの点滴かん水施肥(養液土耕)栽培が土壌の物理性および根の形態に及ぼす影響

土耕栽培における点滴潅水施肥栽培の土壌の物理性とナスの根の形態に着目した研究です。散水型チューブを用いて給水量と吸水回数を1株あたり5L、潅水回数を110回とした慣行区と、点滴チューブを用いて1株あたり給水量を1Lと潅水回数511回とした点滴区を比較しています。

慣行区と点滴区の地表硬度は点滴区のほうが柔らかく、それに伴い根長が44%長いという結果が見られました。収量の点でも慣行区が22kg/株であったのに対して点滴区は27kg/株と、点滴区の収量が有意に多かったと結論付けています。

※参考:福岡県農業総合試験場「促成ナスの点滴かん水施肥(養液土耕)栽培が土壌の物理性および根の形態に及ぼす影響」
https://www.farc.pref.fukuoka.jp/farc/kenpo/kenpo-25/25-06.pdf



作物に最適な潅水量と頻度を供給するためには、ハウス内の環境や栽培方法に合わせて制御機器やチューブの特性も把握し選定することが重要です。

ニッポーの潅水NAVIは測定した日射量に応じて自動で潅水を行う潅水コントローラです。日射積算値の設定値を調整することで、少量多潅水を行うことができます。より詳しく聞いてみたい方はお気軽にお問い合わせください。






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